2008年10月31日
エピソード56 "町内運動会"

1)道具妖怪
夕日の時代の日米モンスターを見ると「フランケンシュタイン」や「狼男」などの欧米のモンスターは、やはりスーパーマンやバットマンのようなアメリカンコミックのヒーローと同じく身体が大きくて如何にも強そう。対して故・水木しげるさんの描く妖怪は小さいモノから大きなモノ、強そうなモノもいれば弱そうなモノ、恐ろしげなモノから可愛らしくひょうきんなモノまで様々。人の心が反映したモノが妖怪。「唐傘おばけ」や「提灯おばけ」など我々日本人の身の回りの道具が変化(へんげ)したものも多い、と水木さんが生前「妖怪談義」を語られていたのを思い出します。「モノは大切に使いなさい」というエコ感覚まで教える日本の妖怪達は、しかも仲も良かった。なんたって、墓場で運動会をしちゃうんですもん!
そしてお隣同士も仲良かった。「昔は町内で運動会♪」。ありました!ありました!借物競争、障害物競争、綱引き、リレー・・・・。学校みたいにフォークダンスこそなかったけれど、町中の多くの人が楽しみながら参加していたっけ!(ちなみにやっと好きな子と踊れると思いきや、寸前で反対回りになってしまう、ちょっともどかしいフォークダンス。チャーリーは大好きでした。)
2)ドンチャン騒ぎ
今では余り聞かなくなった“ドンチャン騒ぎ”という表現、まさしく町内運動会のためにあったようなものでした。まるで「サザエさん」に出てくるみたいな割烹着姿の主婦達が、何故か“しゃもじ”を持って「あんたぁ・・・頑張れぇ・・・勝たなきゃ家入れないよぅ・・・」、なんて本気だか冗談だか分からないような応援の合いの手が入ってくる。場内爆笑。亭主も黙っちゃいない、「うるせいなぁ、男同士の神聖な戦いにチャチャいれんない」そこでまた爆笑。中にはここぞとばかりにお灸を据えるような母ちゃんもいる。「女遊びばっかりしてるから、そんなへっぴり腰になるんだよぅ、しっかりおし〜。」男はたいがい言葉で負けるから、これはもうしかたなし、一本!運動会終了後の夜は夜で無礼講の飲会だけど、運動会ネタで話が尽きることはなく、あっちこっちで花が咲く。 お互い名前は知らないけれど、年中町内ですれ違って顔は知っているもんだから、やれ「クリーニング屋のせがれは足が遅い」だの、「八百吉の二階の居候は見かけ倒しで力がねぇ」だの、「虎屋の娘はやっぱり器量良し」だの言いたいことを言いながら騒いでいましたっけ。
そしてあんな急激に、日頃行っていない運動を沢山したにもかかわらず、身体中に膏薬貼って痛てぇだのへったくれだの言ってたぐらいで、寝込むオッサンは誰もいなかったなぁ。やっぱり頑丈だったんだな親父達の世代は。縁起肴のメデタイ(鯛)なぞはゼラチンやコンドロイチンも豊富だから、したたか傷んだ身体を回復するには実にいい肴 だったけど、何よりも当時日本人の多くは町工場労働者や農業従事者が多かったわけで、肉体労働は日頃から苛酷。それに加え、夏は盆踊り、冬は年末の大掃除(昔の大掃除は半端じゃなく重労働だった)と餅つき、下手すりゃ年間通じて“町内夜回り当番”などもやってたんだから、「OH〜モーレツ!」でした。
投稿者 Melody : 09:38
